もくじ
学校・園からの別居親差別をなくそう!
訴訟内容
※訴状の一般公開はしておりません。ここでは訴訟の概要をご紹介させていただきます。
※記者の方々には個別に対応をしておりますのでお問い合わせください。
主な争点
憲法14条1項に違反する違法行為
憲法14条1項は,「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」と規定している。原告1と原告3は,子の親権者であり,子の学校行事への参加や子の学校情報の入手等について,それぞれの配偶者との間で差別的取扱いを受けることには,何ら合理的な理由はない。また,原告2も,子の親であり,やはり子の学校行事への参加や子の学校情報の入手等について,元配偶者との間で差別的取扱いを受けることには,何ら合理的な理由はない。
憲法24条2項に違反する違法行為
憲法24条2項は,「家族に関するその他の事項に関しては,法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,制定されなければならない。」と規定している。同条項の趣旨は,国会に対して,法律を,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定することを命じただけでなく,制定されている法律に基づく適用も,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して行うことを命じた内容である。原告1と原告3は,子の親権者であり,子の学校行事への参加や子の学校情報の入手等について,それぞれの配偶者との間で差別的取扱いを受けることには,何ら合理的な理由はない。また,原告2も,子の親であり,やはり子の学校行事への参加や子の学校情報の入手等について,元配偶者との間で差別的取扱いを受けることには,何ら合理的な理由はない。
「人格的利益」の侵害
東京地裁令和3年2月17日判決及びその控訴審である東京高裁令和3年10月28日判決は,以下のとおり判示して,親による子の養育関係は,親にとっても子にとっても「人格的な利益」であると判示した。「親である父又は母による子の養育は,子にとってはもちろん,親にとっても,子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく,独自の意義を有するものということができ,そのような意味で,子が親から養育を受け,又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有するということができる。しかし,これらの人格的な利益と親権との関係についてみると,これらの人格的な利益は,離婚に伴う親権者の指定によって親権を失い,子の監護及び教育をする権利等を失うことにより,当該人格的な利益が一定の範囲で制約され得ることになり,その範囲で親権の帰属及びその行使と関連するものの,親である父と母が離婚をし,その一方が親権者とされた場合であっても,他方の親(非親権者)と子の間も親子であることに変わりがなく,当該人格的な利益は,他方の親(非親権者)にとっても,子にとっても,当然に失われるものではなく,また,失われるべきものでもない。」
本件はいずれも,親による子の養育関係である「人格的な利益」を侵害するものであり,違法であることは明白である。
原告の被害状況
原告A(親権者)
原告Aと戸田市立B小学校のC校長,D教頭,E教頭との面談内容
原告Aは,令和3年3月初旬に子どもが通う予定の戸田市立B小学校に電話して,C教頭に対して,原告Aの子の学校行事情報の共有,学校行事への参加(先ずは同年4月上旬の入学式への参加),学校での子どもとの面会交流についてC校長との面談を申し入れた。
その後,原告Aは,同年3月中旬に戸田市立B小学校に電話して,D教頭と会話したが,教育委員会と話をしているので,結論が出るまで待って欲しいと言われた。
その後,原告Aは戸田市立B小学校に4回くらい電話したが,他の教師からD教頭は,外出しているか会議中と言われ,折り返し電話するよう伝えたが,電話はかかってこなかった。
D教頭から折り返し電話がなく,何度電話しても出ない為,原告Aは,同年3月下旬に戸田市立B小学校を訪問して,D教頭を見つけて,C校長との面談を申し入れた。
原告Aは,C校長へ直接,改めて,①子の学校行事情報の共有,②学校行事への参加(先ずは同年4月の入学式への参加),③学校での子どもとの面会交流を申し入れたところ,妻の意向と戸田市の顧問弁護士の監護者の意思を優先すべきという意見を総合的に判断して,全ての要求を拒否すると言われた。
原告Aは,同年4月上旬に戸田市立B小学校を訪問して,D教頭に対して,再度C校長との面談を求めたが,あなたは部外者だからと言われ,職員室から入り口の方に誘導され,ここで待つように言われた。しばらくして,C校長が現れ,校長室に入るよう言われた。
原告Aは,C校長に対して,子の学校行事情報の共有,学校行事への参加を拒否する法的根拠を教えて下さいと言ったところ,回答はなかった。
その後,C校長が監護権を持っている監護者の妻の意向である,という話をしたので,原告Aは,監護権とは何ですかと聞いたところ,裁判所が認めたお子さんに対する優先する権利のこと,それを優先すべきであると顧問弁護士から聞いたと回答した。
Aは,C校長に対して,監護者とは何ですかと聞いたところ,C校長は,回答することができなかった。
原告AはC校長に対し,運動会は地域の住民も参加できるが,親権者である原告Aが参加できない法的根拠を教えて下さいと言ったところ,C校長の回答はなかった。
原告Aは,C校長へ学校教育法の16条に保護者の定義があり,親権者は保護者であると伝え,原告Aを保護者として扱わない法的根拠を教えて下さいと言ったところ,C校長の回答はなかった。
C校長は原告Aに対して,「裁判所が原告Aを保護者ではないと判断したのではないですか。」と言った。原告Aは,さいたま家裁から妻を主たる監護者とする審判が出されているが,保護者ではないとの記載はないと説明したが,やはり回答はなかった。
このように原告Aは、戸田市立B小学校のC校長から全ての要求を拒否されており、親権者にもかかわらず、学校行事にすら参加できない、子どもの情報を一切知ることができないという酷い状況が続いている。
原告C(親権者)
鴻巣市教育委員会による子らの学校情報の非開示
原告Cが一人実家にいる間に,夫は色々と理由をつけて,原告Cと子らとを会わせないようにした。原告Cは子らと断絶させられ、自宅から閉め出された。その後、原告Cは,自身が追い出された自宅が売りに出されており,夫が子らをいずこかに連れ去ったことを発見した。現在,子らは行方不明で,子らの住民票の住所は鴻巣市にある夫の実家になっているがそこに住んいでる実態はない。
原告Cは,鴻巣市教育委員会に子らの学齢簿の開示を求め,情報開示請求したが、学校の情報は非開示であった。原告Cが,鴻巣市教育委員会に電話で非開示理由を確認したところ,「教育委員会が一番大事にしているのが,子供が学校に来られること。夫婦の葛藤が高いと,子供が学校に来られなくなる恐れがある」という不合理な理由を告げられた。
また,鴻巣市教育委員会から原告Cに対する「お子様の行方について(回答)」と題する書面には,「先日の保有個人情報開示請求の決定内容に関してですが,別居中,係争中という状況で,学校情報をお伝えすることは夫婦間の状況を深刻化させ,お子様の生活にも影響を及ぼすおそれがあると考えております。その上で,教育委員会としては,お子様の就学の機会を第一に考え、就学に関する情報を不開示とする判断に至りました。また,学校と原告C様との面談の調整の可否についても,不開示情報に該当いたしますので,回答を差し控えさせていただきます。」と記載されていた。
原告Cは,翌年,再度鴻巣市教育委員会に①子らの学齢簿及び②子らの健康診断書票の開示を求め,情報開示請求したが、再び非開示となった。
①について開示しない部分及びその理由については,「(理由)開示請求者本人が居所を明らかにしていない法定代理人に対して,学齢簿の就学する学校に関する情報を明らかにすることにより,開示請求者本人の生活環境を害するおそれがあるため。」と記載されていた。
②について理由については,「(理由)健康診断票の存在の有無を回答することは,開示請求者本人が法定代理人に対し,居所を明らかにしていない現状において,居所の特定につながる就学状況を示すことは,鴻巣市個人情報保護条例第18条第2号に規定される開示請求者本人の生活環境を害するおそれがあるため。」と記載されていた。
原告Cは,子らの親権者であるにも拘わらず,行政から子らの学校すら教えてもらえないため,学校に関わる全ての事項について差別を受けている。①行事参加も,②クラスがどこかを知ることも,③担任が誰かを知ることも,④通知表を見ることも,⑤保護者会に参加することも,⑥PTAに参加することも全てできていないのである。また長男の小学校卒業式・中学校入学式、長女の小学校入学式に出れなかった。
審理経過
2023年12月13日 [鴻巣市]第6回期日実施済
2023年10月25日 [戸田市]第6回期日実施済、[鴻巣市]第5回期日実施済
2023年8月9日 [戸田市]第5回期日実施済、[鴻巣市]第4回期日実施済
2023年6月9日 [戸田市]第4回期日実施済、[鴻巣市]第3回期日実施済
2023年4月13日 [戸田市]第3回期日実施済
2023年3月29日 [鴻巣市]第2回期日実施済
2023年3月1日 [戸田市]第2回期日実施済
2023年1月27日 [鴻巣市]第1回期日実施済
2023年1月12日 [戸田市] 第1回期日実施済
2022年8月8日 訴訟提訴